榊原税務労務会計事務所 倒産・破産税務のブログ

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法人の倒産と青色申告の関係

青色申告制度とは、法人税の確定申告書を青色申告書により提出することの制度総称で、適用を受けるには、青色申告書による確定申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までに、納税地の所轄税務署長に対して、青色申告承認申請書を提出し承認を受けることにより、確定申告書を青色申告書により提出することができます。

 

確定申告書を青色申告書により提出することで、以下のような税制優遇をうけることができます。

 

・欠損金の繰越控除

 確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。※欠損金が発生した事業年度により、繰越期間が7年又は9年となる場合があります。

 欠損金の繰越控除を適用できる法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。※連続していれば、間の確定申告書が白色でも問題ありません。
 欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、この繰越控除の規定が適用されます。

詳しくは、欠損金の損金算入制度にて書かせていただきます。

 

・欠損金の繰戻しによる還付

 青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。つまり、当事業年度が赤字となり、前期が黒字の場合に、当事業年度の赤字と前期の黒字を相殺して、前期の法人税を還付してもらう手続きです。

 

・少額資産の損金算入制度

 期末資本金1億円以下の中小企業等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その全額(上限300万円まで)を損金の額に算入することが出来ます。

 

・各種特別控除・特別償却

 機械等を購入した場合や店舗やソフトウェアなどの設備投資をした場合に、通常の減価償却費よりも多く償却費を計上することができる特別償却制度や、特別償却制度に代えて税額控除(通常は資本金要件あり)を選択できます。

 

・各種税額控除(措置法関連)

 例えば、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除(いわゆる所得拡大税制)の適用対象法人は、青色申告書を提出した法人とされており、青色申告が要件となっております。租税特別措置法に規定する各種税制優遇は、青色申告法人であることが要件になっています。

 

・推計課税の禁止、更正の理由付記

 税務調査があった場合に、白色申告であると推計課税による賦課課税方式のような課税方法がとられる場合があります。白色申告の場合には、一般に公正妥当と認められる会計の基準(いわゆる企業会計基準など)に従って帳簿が作成されていないこと、または不備があることが考えられるため、課税庁が税額を計算し、決定してくることがあるります。青色申告の場合は、課税庁の推計課税に対して説明、対抗することができるのですが、白色申告書による確定申告書を提出した場合には、税務調査の面で不利となります。更正の理由付記についても、青色申告書の場合には、更正した理由書が発行されますが、白色申告の場合には、そういったことがされないようです。

 

 多数の税制優遇特典がある青色申告制度ですが、会社倒産の場合にはその会社の顧問税理士が報酬未収により申告を放棄しているケースも珍しくありません。無申告のまま放置すると、青色申告取消処分となることがあります。

 

ただ、清算中の法人が各種税額控除や特別控除を受けられる環境にあることは極めてまれです。(各種特別控除や特別償却は、清算中の事業年度については適用がありません。)

 

青色申告取消処分が問題になるのは、欠損金の繰越控除制度と欠損金の繰り戻し還付制度、少額資産の損金算入制度です。

詳しくは、欠損金の繰越控除のところでお話しますが、倒産、破産手続きを進めるにあたり、いかに最終配当資金を増幅させるかがポイントとなります。

 

欠損金の繰越控除は、赤字が発生した事業年度に青色申告書を提出している必要があるため、白色申告書による確定申告書では、多額の赤字を欠損金の繰越控除の対象とすることができなくなります。倒産、破産手続きを進める中で、使用できると思っていた欠損金が使えなくなり、多額の納税が発生する可能性もあるため注意が必要です。(最終申告事業年度には、期限切れ欠損金も含め、すべての欠損金の損金算入が可能ですが、手続きを進める上で納税が発生することは、破産者にとって大きな負担となります。)

 

欠損金の繰戻しによる還付についても、欠損金が発生した事業年度に青色申告書による確定申告書を提出していることが要件のため、受けられると思っていた還付が実は受けられないといった事態にもなりかねないため注意が必要です。

 

 

少額資産の損金算入制度については、30万円未満の減価償却資産として損金の額に算入されていた場合には、すべて通常の減価償却資産として損金算入限度額を超える部分は減価償却超過額として否認されてしまいます。

 

前期確定申告書からの続きで当事業年度の確定申告書を作成し、提出したら青色申告取消となっていた!ということも考えられるので、会社倒産に関する税務申告をする際には、必ず青色申告取消処分を受けていないか確認する必要があります。