榊原税務労務会計事務所 倒産・破産税務のブログ

榊原税務労務会計事務所の破産・特別清算に関する特設ブログです!

倒産の場合の地方税減免制度について

倒産案件で忘れがちなのが、地方税の減免申請です。

通常の法人であれば、決算期が到来し確定申告する際に地方税についても合わせて確定申告をする必要があります。

 

地方税は下記の3つの税目について確定申告する必要があります。

 

・法人県民税

・法人事業税

・法人市民税

※東京都(23区)の場合には、法人都民税、市民税については行政区域の違いにより町民税と呼ぶ場合もあります。

 

法人県民税、法人市民税(以下、法人住民税 という)法人事業税の申告時期は、法人税と同じで事業年度終了の日より二月以内となります。

ただし、会計監査人の監査を受けなければならない場合には、申告先の市区町村に申請することで、事業年度終了の日より三月以内に期限延長することができます。

基本的に、国税(税務署)で承認申請していれば、地方税もそれを準用する形となります。

 

地方税は、地方税法という法律の基に課税を行っておりますが、市区町村にはそれぞれ条例というものが存在します。

条例が何かといったことはここでは書きませんが、条例の中で法人が特別清算に陥った場合や破産開始決定が下された場合などに、法人住民税を全額または一部減免するといった規程が存在する場合があります。

存在する場合があると書いたのは、条例ベースのためその取扱いは市区町村によってバラバラなのが現状です。

しかも、法人住民税の減免を受けるためには、減免申請書を提出しなければなりません。自動的に減免されるといった納税者に優しい制度ではないため、知らなきゃ損します。また減免申請書の提出期限も市区町村毎にバラバラで、確定申告書を提出するまでに!とか、事業年度終了の日までに!とか県によっても市によっても様々なので、制度の有無や減免制度の有無について、申告先の市区町村の税務課に直接聞くのが良いでしょう。

 

倒産案件の場合、所得が出すぎて困るといったケースはあまり無いと(全くゼロではありません。)思われますが、均等割りだけはどうしても発生します。均等割りは、広く均等に課税する住民税なので、これはどんな赤字法人であろうとも税額が発生します。均等割は、法人の資本金等および従業者数に応じて金額が大きくなっていきますので、特に大規模倒産案件の場合には、必ず減免制度を確認しましょう。

未払賃金立替制度について

未払賃金立替払制度は労災保険法の社会復帰促進等事業の一環として行われるものです。企業が破産や特別清算民事再生など企業経営が安定を欠くに至った場合に、退職労働者の請求により、政府が委託する独立行政法人労働者健康安全機構より、年齢に応じ一定の金額を上限に、未払賃金の立替払いが行われます。

 

立替払の対象となる未払賃金は、労働者が退職した日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものです。いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはなりません。

 

立替払限度額は、未払賃金総額の100分の80相当額です。各年齢区分毎の実質的な限度額は下記の通りです。

 

30歳未満 88万円(110×0.8)

45歳未満 176万円(220×0.8)

45歳以上 296万円(370×0.8)

 

企業としては、立替払した金額を政府より求償されることとなります。

つまり、会計処理としては

 

借方 給与手当 ○○円 貸方 未払金 ○○円

 

となります。

清算事務を進める上で、従業員の解雇をしなければならないケースもありますが、資金的に余裕がなく、賃金の未払により労働者が泣き寝入りしないように、こういった制度も周知していくべきです。

 

法人の倒産と青色申告の関係

青色申告制度とは、法人税の確定申告書を青色申告書により提出することの制度総称で、適用を受けるには、青色申告書による確定申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までに、納税地の所轄税務署長に対して、青色申告承認申請書を提出し承認を受けることにより、確定申告書を青色申告書により提出することができます。

 

確定申告書を青色申告書により提出することで、以下のような税制優遇をうけることができます。

 

・欠損金の繰越控除

 確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。※欠損金が発生した事業年度により、繰越期間が7年又は9年となる場合があります。

 欠損金の繰越控除を適用できる法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。※連続していれば、間の確定申告書が白色でも問題ありません。
 欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、この繰越控除の規定が適用されます。

詳しくは、欠損金の損金算入制度にて書かせていただきます。

 

・欠損金の繰戻しによる還付

 青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。つまり、当事業年度が赤字となり、前期が黒字の場合に、当事業年度の赤字と前期の黒字を相殺して、前期の法人税を還付してもらう手続きです。

 

・少額資産の損金算入制度

 期末資本金1億円以下の中小企業等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その全額(上限300万円まで)を損金の額に算入することが出来ます。

 

・各種特別控除・特別償却

 機械等を購入した場合や店舗やソフトウェアなどの設備投資をした場合に、通常の減価償却費よりも多く償却費を計上することができる特別償却制度や、特別償却制度に代えて税額控除(通常は資本金要件あり)を選択できます。

 

・各種税額控除(措置法関連)

 例えば、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除(いわゆる所得拡大税制)の適用対象法人は、青色申告書を提出した法人とされており、青色申告が要件となっております。租税特別措置法に規定する各種税制優遇は、青色申告法人であることが要件になっています。

 

・推計課税の禁止、更正の理由付記

 税務調査があった場合に、白色申告であると推計課税による賦課課税方式のような課税方法がとられる場合があります。白色申告の場合には、一般に公正妥当と認められる会計の基準(いわゆる企業会計基準など)に従って帳簿が作成されていないこと、または不備があることが考えられるため、課税庁が税額を計算し、決定してくることがあるります。青色申告の場合は、課税庁の推計課税に対して説明、対抗することができるのですが、白色申告書による確定申告書を提出した場合には、税務調査の面で不利となります。更正の理由付記についても、青色申告書の場合には、更正した理由書が発行されますが、白色申告の場合には、そういったことがされないようです。

 

 多数の税制優遇特典がある青色申告制度ですが、会社倒産の場合にはその会社の顧問税理士が報酬未収により申告を放棄しているケースも珍しくありません。無申告のまま放置すると、青色申告取消処分となることがあります。

 

ただ、清算中の法人が各種税額控除や特別控除を受けられる環境にあることは極めてまれです。(各種特別控除や特別償却は、清算中の事業年度については適用がありません。)

 

青色申告取消処分が問題になるのは、欠損金の繰越控除制度と欠損金の繰り戻し還付制度、少額資産の損金算入制度です。

詳しくは、欠損金の繰越控除のところでお話しますが、倒産、破産手続きを進めるにあたり、いかに最終配当資金を増幅させるかがポイントとなります。

 

欠損金の繰越控除は、赤字が発生した事業年度に青色申告書を提出している必要があるため、白色申告書による確定申告書では、多額の赤字を欠損金の繰越控除の対象とすることができなくなります。倒産、破産手続きを進める中で、使用できると思っていた欠損金が使えなくなり、多額の納税が発生する可能性もあるため注意が必要です。(最終申告事業年度には、期限切れ欠損金も含め、すべての欠損金の損金算入が可能ですが、手続きを進める上で納税が発生することは、破産者にとって大きな負担となります。)

 

欠損金の繰戻しによる還付についても、欠損金が発生した事業年度に青色申告書による確定申告書を提出していることが要件のため、受けられると思っていた還付が実は受けられないといった事態にもなりかねないため注意が必要です。

 

 

少額資産の損金算入制度については、30万円未満の減価償却資産として損金の額に算入されていた場合には、すべて通常の減価償却資産として損金算入限度額を超える部分は減価償却超過額として否認されてしまいます。

 

前期確定申告書からの続きで当事業年度の確定申告書を作成し、提出したら青色申告取消となっていた!ということも考えられるので、会社倒産に関する税務申告をする際には、必ず青色申告取消処分を受けていないか確認する必要があります。

会社を閉鎖する方法

会社を閉鎖する場合、下記のような方法が考えられます。

 

・任意(普通)清算

・特別清算

・自己破産

 

任意清算は文字通り会社を任意に閉鎖する方法で、例えば後継者不足など、財務状態は比較的厳しくないものの、今後会社を続けていくのには難しい場合に比較的早期に会社を清算する場合が多いです。

そのため、債務超過の状態や資金繰りに悪化している場合にはこの手法を採用するのは難しいでしょう。普通清算の場合には、弁護士などは介入するケースは少なく、税理士が税務申告をして終結してしまうケースも多いです。

 

これに対し、特別清算債務超過状態となった会社が、債権者の方々との話し合い(調停や債権者集会など)の場を設け、弁済可能な金額を交渉し残りを免除してもらう方法で、裁判所の管理下に置かれます。

特別清算の場合、清算人(弁護士や会社の代表者など)が、換金可能な財産を換金し、債務について調査、整理、交渉していきます。

特別清算は和解型の清算方法で、利害関係者(主に金融機関などの債権者)に対して、しっかりと説明していくことで、理解を得られやすい方法です。

 

次に、破産についてご説明します。

破産は強制的に借金を免除してもらうイメージです。

全体的な流れは特別清算の場合と似ていますが、申立人が裁判所に対し破産申立し、裁判所で破産開始決定が下された後に破産管財人が選任されます。

破産管財人は、保証債務なども含め債務を整理し、換金可能な財産(例えば土地建物や有価証券など)を換金していきます。

最終的に財団から弁済可能額を弁済し、破産終結となります。

破産は強制的な手法です。

 

その他、民事再生といった手法もあります。

民事再生法に基づく裁判手続きです。
経済的に行き詰まった企業について、現経営者の主導の下、会社債権者等の利害関係者の多数の同意の下に再生計画を策定し、これを遂行することにより、利害関係者の利害を適切に調整しつつ会社の事業の再建を図ります。

会社を閉鎖する方法とは異なり再建する方法ですが、民事再生もよく利用されている方法です。

破産・特別清算に関する税務申告特設ページ開設のご挨拶

はじめまして、榊原税務労務会計事務所は愛知県刈谷市にある税理士事務所、社会保険労務士事務所の合同事務所です。

所長の榊原は税理士と社会保険労務士資格を保有しております。

 

当ブログは、破産管財事件や特別清算といった会社を閉鎖する段階にて発生する税務申告についての情報を発信していきたいと思います。

 

平成22年度税制改正により、清算中の法人に係る税額計算は、財産課税から所得課税へ変更されました。この改正で、清算中の法人も通常事業年度と同じように所得計算を行うようになったため、財産を換金処分過程で発生する売却益や、債務免除益に対して膨大な税金が発生する可能性があります。特に公租(法人税や消費税)は優先的に弁済されますので、欠損金(繰越や期限切れ欠損金を含め)の有無や含み益等を把握し、正確な税務シュミレーションから税額がどの程度発生するかなどを把握しておく必要があります。さらに、終結決定後も税務調査リスクが残っていますので、調査の結果で思わぬ税金が発生することもあり、慎重に対応する必要があります。

 

逆に還付申告となる場合には申告することで、破産財団が増加しますが、還付申告をする場合には、税務調査リスクがあるため、リスクを踏まえた適切な判断をする必要があります。

 

榊原税務労務会計事務所では、清算に係る税務申告に対応することが可能です。

破産管財人清算人となった弁護士の税務申告をサポートをさせていただきます。

管財人や清算人となったけど、すでに相当の債務があり、従前の顧問税理士が税務申告してくれないなどの場合には是非ご相談ください。